2010年5月14日金曜日

道の先

道の先に見えるものは…
昨日、友人のKumiさんに誘っていただいて
平城遷都1300年記念経済フォーラム 
[2010年からの転換と展望―日本と東アジアの未来を考える]
に行って来ました。
日本が誇る編集工学者Mr.Dandy松岡正剛氏がモデレーター、
Kumiさん司会の中、
榊原英資氏(青山学院大学教授)
新浪剛史氏(株式会社ローソン代表取締役社長CEO)
原丈人氏(デフタ パートナーズグループ会長)
上垣外憲一氏(大手前大学総合文化学部教授)
という、大変豪華なゲスト陣。
飛鳥文明の平城京遷都から1300年の今年、NARASIAと称して、
アジア視点から激動の世界経済を識者が論じるエキサイティングな企画。
基調講演で榊原英資氏は、『市場主導で進む東アジアの経済統合』と題し
1300年前、圧倒的な中国の影響力を学んだ当時の日本の姿勢から、
現在の中国をはじめとした東アジアとの関わりの中で、
価値と仕組みを再構築する術を学べと、切り出しました。
行き詰った欧米主導株式至上資本主義の没落 
そして、東アジア共同体の未来を日本がリードする可能性
榊原氏は終始、この結論に帰していました。
現在は、文明のアジア回帰時期⇒ReOrientだと言い、
脱欧入亜
経済を皮切りに、政治、文化も東アジア全体で共同体化する
仕組みつくりが必要だと訴えます。
リーマンショック後、崩壊しつつある、油上の楼閣(笑)
続いて、私は昨日初めてお話を伺ったのですが、
原丈人氏の特別講演です。
題目は『新しい資本主義と日本の可能性』
私は、2008年から限界が顕在化した株式至上資本主義に変わるものは
ITを通じたローカリズム経済のグローバルネットワークだと思っていましたが
それが、資本主義の一種なのか、社会主義的民主主義と呼ぶべきなのか、
はたまた別のものなのか、分かっていませんでした。
しかし、原氏が唱えた『公益資本主義』という言葉が非常にマッチしました。
マイクロファイナンスしかり、地域通貨しかり…
中身は一緒ですけれど、
「公益を生み出す、なるべく地域に根ざした経済を支援する仕組み」
「経済の地産地消をコンサルティングするグローバルネットワーク」
とでもいいましょうか。原氏は、榊原氏と同じように、
これからも現行資本主義の金融崩壊は止まらないと言い、
(日経ホールで、こんな講演が聴けるなんて…笑)
これに平行して
公益資本主義の先端モデルを日本主導で作り上げるべきだと。
「第一次産業は勿論、その上の産業構造全ても含め、
公益性が高くないといけない。企業は株主のものではなく、
顧客・従業員・仕入先などを含めた公共的なものである。
しかし、現在の株式至上資本主義は、大株主が短期的に
自己利益を最大化することが目的なのに、企業の再生等と
大義名分を唱えるから、矛盾が生じ持続不可能となる。」
シリコンバレーで活躍するベンチャーキャピタリストとして、
株式至上資本主義の仕組みにどっぷり身を置いている原氏から
このような言葉が聞けたことは驚きで、しかし、感動しました。
経営の極みにおけるレベルで、正反対の価値観と戦い、
且つ、結果を出しながら、理想を追求する。
経済界の坂東玉三郎、こんな言葉が浮かびましたが、
どうしたら、原氏の様になれるでしょうか。
先月の話ですが、
六本木ヒルズ(上の写真はあくまで洒落です)にて行われた、
MC Planning様主催のVisionary Institute Seminor
に参加させて頂きました。
第1回目は、一橋大学名誉教授の野中郁次郎先生の講演でしたが、
野中先生の言う『美徳ある経営』
公益資本主義とは、まさに『美徳』がないと体現できません。
表面的なCI論などではない、本物のモラル。
公益性を伴った高い理想がないと
これからは経営を紡ぎだしていけないでしょう。
話が戻りますが、榊原氏は普天間問題のことも取り上げられ
鳩山首相の対応を、こんなことで躓いている場合じゃないと、
ちくりと批判しながらも、この問題の根底にある日米安保にも
言及されていました。近代資本主義が終わりかけている現在、
日本の安全保障の枠組みも20年以内に組み直さないといけない
と言う、少し濁し訂正した言葉と視線からは、本心は4,5年で…と、
言いたそうな感じも受けましたが(笑)、
アメリカに近い榊原氏から、このような発言が聞けたことも驚き。
(ここにも時代の流れが在る?)
続けて榊原氏は言います。
‐世界中が日本に憧れている‐
アメリカから日本を含めた世界を時代の遍歴と共に見てきた榊原氏が仰るので説得力があります。
外国に侵略されたことがなく、
おかげで1300年前からの漢文化との交わりが、長い期間をかけて
熟成し、洗練された固有の美意識と価値観を得た日本。
反面、農耕民族として協調性を保ったがゆえの我の弱さを克服し、
世界水準の発信力を身に着けるべきだと。
ReOrientの近未来(現代)、日本人がこの発信力を持てさえすれば、
東アジア共同体が熟成する今後30年、強力なリーダーシップを発揮し、
結果、世界を救うことさえ出来る と…
富士に沈むこの夕陽が世界の朝を照らしていく
発信力… 私個人の課題でもあり、非常に心に残りましたが、、
日本が世界を救う
ミスター円と呼ばれた男の情緒的な言葉に会場は酔いしれていました。
その後も、榊原氏以外の4名でのパネル討論において激論が交わされ、
バランスよく深い思想を持つ新浪氏のアジア市場戦略経営論、
上垣外氏の歴史から紡ぐ中国他アジアの経済・政治攻略論など、
圧倒的な知を、松岡正剛氏が繋いで紡いで、帰結を得ました。
‐編集のライブ‐  美しき経済フォーラム
会場の皆様の心にも、
まさに現代が歴史の変革期だという感覚が
出現したのではないでしょうか。
私もこの場に在りて、
そして、原氏の云う『公益資本主義』のVisionに触れた事で、
未来へ続く道の先にあるものが、垣間見れた気がします。
追記:                                            
1、榊原氏の予測として、6月20日くらいまでに中国元の為替レートが5%程 
切り上がるのではないかと…(投資は自己責任で行って下さい。
2、Kumiさんも大御所たちに負けないオーラを纏っていましたよ☆流石です!
      招待下さり有難うございました!